天高工房

キーキャップに印字して遊んだり電子工作して遊んだりしたことを書くかもしれません。

ダイオードのはんだ付け後の確認

この記事は namecard2x4 のサポート記事として執筆するものです。

はじまりはLets's splitなのかもしれません。しらんけど。空間を削減するためにキースイッチなどほかの部品をはんだづけしたあとその上にかぶせるようにpromicroをはんだ付けするケースがあります。このとき、マーフィーの法則に基づいて大体promicroの下にはんだ付け不良があることがのちに発覚します。

残念なことにnamecard2x4も空間の都合でソケットとダイオードの上にpromicroをかぶせてしまっています。しかし、promicroを取り付ける前にテスターを使って確認することでこの悲劇を防ぐことができます。

今回使うのはamazonでprime発送にも関わらず500円前後という驚異的な価格の激安テスターです。テスターを持っていなければ今すぐ購入してください。

注意

天高は雰囲気でテスターを使っています。

名称の確認

  • 利用時に上を向く面を表面とします。
  • 利用時に下を向く、主にはんだ付けで部品を取り付ける面を裏面とします。
  • 一般化するため、デカマイクロも本記事ではpromicroと呼称します。

ダイオードの雑な復習

  • ダイオードは1方向にしか電気を流しません
  • ダイオードには線が書いてあります
  • ダイオードの線が書いてあるほうに近い電極をカソードといいます
  • ダイオードの線が書いてないほうに近い電極をアノードといいます
  • アノードに+、カソードにーをつなぐと電気が流れます
  • カソードにー、アノードに+をつなぐと電気が流れません

テストの方法の確認

テスターを抵抗値測定モードで起動します。レンジ指定があるのであれば~2000くらいがよいと思います。

ダイオードのアノードに赤プローブ、カソードに黒プローブを当てます。すると、抵抗値が表示されます。これが期待した状態です。

逆につなぐと、有限の抵抗値が表示されません。

これを発展させて、ダイオードのアノード側のパッドから直接つながっているほかのパッドに赤プローブを当てます。カソード側も直接つながっているほかのパッドに黒プローブをつなぎます。

適切にはんだ付けができているのであれば、アノードパッドから繋がっているパッド間とカソードパッドから繋がっているパッド間は導通しているので先ほど測定したのと概ね同様の抵抗値が確認できます。逆に、確認できない場合ははんだ付け不良です。

厳密には、これで確認できるのは電気的接触が確保できているというだけなので、目視でも確認を実施してください。

namecard2x4でのテスト

namecard2x4 rev2の場合、RAWの列の一番下、13番ピンが偶数ダイオード、14番ピンが奇数ダイオードのアノードにつながっています。裏面で直接ランドからパッドにパターンが伸びていますので、目視で追いやすいかと思います。

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テスターの導通確認モードで、赤同士・黄色同士を確認するとブザーが聞こえるはずです。

一方、カソードはスイッチソケットの左側パッドにつながっています。アノードと同様に、テスター導通確認モードでつないでみてください。

以上より、13番ピンはダイオード経由で偶数番号のスイッチの左側パッドと、14番ピンはダイオード経由で奇数番号のスイッチの左側パッドとつながっていることが分かります。

ダイオードテストモード/抵抗確認モードに設定をして、promicroのピンにテスターの赤プローブを、スイッチの左側パッドに黒プローブをあててください。前の項で確認したダイオードの抵抗値と大体同じような抵抗値が表示されるはずです。抵抗値が表示されなければ以下のいずれかの問題があります。

  • ダイオードの向きが間違っている
  • ダイオードのはんだづけ不良
  • ダイオードへのはんだづけを忘れている
  • テスターのプローブをあてる先が間違っている
  • テスターのプローブとテスターの接続場所が間違っている
  • スイッチソケットがはんだ付け不良でパッドに接触できていない

拡張

各スイッチソケットの右側のパッドはpromicroと繋がっています。具体的には、7,8番のスイッチソケットはpromicroTX列の一番下の12番へ、5,6番はその一つ上の11番へ、3,4番は10番へ、1,2番は9番へつながっています。

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導通モードで確認してみましょう。

promicro以外すべての部品を取り付けた状態で、表面を向けてスイッチを差し込みましょう。

裏返して、上から軽く力を加えてスイッチがすべて押された状態にしてください。この状態でダイオードテスト/抵抗値測定モードで13番と12-9番、14番と12-9番のテストをすることでダイオードとスイッチソケットの実装良否が判定できます。

namecard2x4 rev2を例にすることの問題点

実はnamecard2x4 rev2は「ROW2COL」と呼ばれる設定になっています。これは row to col, 行から列へ、という意味の設定です。行方向につながっているピンを出力ピン、列方向につながっているピンを入力ピンとすることで、行方向ピンから列方向ピンに電気を流すようにする設定です。しかしプログラムの実装はCOL2ROWのほうが簡単なので大抵のキーボードはCOL2ROWで作られています。つまりnamecard2x4とたいていのキーボードはダイオードが逆向きです

しかし、ここまでの説明をきちんと読んでいただけたならば、ダイオードの向きが違うことに気づかずにテストをはじめても「あ、なるほどダイオードが逆向きなんだな。逆につなごう」と判断していただけるかと思います。していただけるでしょう。できるはずだと信じています。

namecard2x4を使ってダイオードの(ついでにスイッチソケットも)はんだづけ是非の試験方法を確認しました。

これで、段階を踏みながら組み立てが実施できるかと思います。具体的には、たいていのキーボードでは行単位ではなく列単位で組み立てをするとよいでしょう。1列すべてのダイオードがちゃんとはんだ付けできたら次の列へ、と進めていくことではんだ付け不良による動作不良を防ぐことができます。最終的に、スイッチではんだ付け不良があっても、ダイオードには問題がないことがわかっていますので絞りこめます。

開発者向けメモ

以下の記述を実施することで、利用者へのデバッグ指示が簡潔になるのではないでしょうか。

  • promicroのシルクに行番号と列番号を記載する
  • スイッチマトリクスのグラフを作成する
  • (ダイオードのシルクのアノード側にc、カソード側にrと表記する(COL2ROWの場合))